「あぶらだこ」をご存知の方は少ないと思います。

食べ物?地名?何かの呪文?・・・という具合に、

知らない人からすれば、なんとも不思議で得体の知れないことばのように聞こえるでしょう。

実はこの「あぶらだこ」というのは、知る人ぞ知る「伝説のロックバンド」なのです。

 

なぜ「あぶらだこ」が知られていないかというと、

「抗体がないと強い不快感を覚える」ようなサウンドを創り出すグループだからです。

 

彼らがバンドを結成したのは、今から30年も昔になりますが、

発表したアルバムは全部でたったの「7作品(2015年現在)」だけ。

 

もちろんサボっていたわけではありません。

 

いや、彼らは本業がサラリーマンであるという背景もあって、

広義では「サボっていた」ととらえられないこともないですが、

これは彼ら特有の言い回しであり、

実際のところ、「1曲作るのに膨大な時間を費やし、

演奏するのにも気が遠くなるような練習が必要になる」というくらい、

おそらく世界中のどこにも存在しないほど複雑怪奇な音楽を奏で続けているのです。

私は「あぶらだこ」の良さを感じることができるようになるまで、

20年かかりました。

日本語のようであって、経文のようでもあって、

しかしその半分程度は辞書に載っていないことばの羅列であり、

バックが奏でる音楽とはまったく無関係に詞がひとり歩きし、

よく聞いてみるとバックの音楽も各パートがバラバラに演奏し、

しかしそのバラバラになった音楽の断片を寄せ集めてつなぎ合わせると、

信じられないほど完成度の高い音楽が出来上がる・・・そんな、

とにかくどこにも存在しない音楽を生み出し続けるのが「あぶらだこ」なのです。

 

一度聴いてみてほしい・・・そんなことは言いません。

 

一度聴いたくらいでは、拒否反応しか起こりません。

しかし、拒否反応を耐えしのび、

襲いかかる音楽の前に突然立ちはだかる高い壁を何度も何度も乗り越えることで、

ほんの少しだけ「あぶらだこ」を感じることができるのです。